小心者でも言いたいことがある。

公務員として働いていましたが、うつ病になりました。

小心者でも言いたいことがある。

うつ病が正しく理解されて治療され始めたのってつい最近のことだって知ってた???

こんにちは。中瀬です。

今日はルイス・ウォルパート著・白上純一訳『ヒトはなぜうつ病になるのか 世界的生物学者のうつ病体験』を読んで、この本の概要と感想をまとめたいと思います。ド素人が学術的にうつ病を理解してみる試みです。

うつ病に関する本をお探しの方、おすすめ本ですので是非ご一読を。

 

 

中瀬さんって理屈っぽいんです

なんちゃって本、滅ぶべし

うつ病になってから、わたしはうつ病関連本をあえて控えていました。

というのも、ワイドショーの延長線上とかクソ萎えるというか、実数1の超個人的体験談はお呼びじゃないというか、「非医療系の人間にも分かる、信頼できる書き手による、ちゃんと裏付けの取れている正しい情報が載っている」本ってなかなか見つからないのです。(不特定多数の人を敵に回す発言ですが本心なのでしょうがない)

特に、「うつ病を治すには○○すればいい!」みたいな本。滅べばいいと思う。そんな簡単に治るんだったら、誰も苦労しないって。そういう本で稼いだ印税で食うメシは美味いか?美味いのか???ふ~~~ん、そうですか~~~。滅ぶべし滅ぶべし。

そういう本にお金を落とすのは癪。でも、読みたい本がない。でも、勉強したいのは本当。

自主的に自分の首を絞めて、お勉強をサボっていたのでした。

 

ありがとう!ジ〇ンク堂!一生ついて行く!

そんな小難しい上に過激派な中瀬さんですが、本屋を巡回パトロールしておりましたところ、なんかいい感じに目立つように置いてある本を発見。

ふむ、世界的な学者先生が書いた本…ふむ、ふむふむ…いい感じに分厚い。情報とは値段と厚さに比例するものだというのは、我が大学時代の恩師からのお言葉ですが、いい感じに厚い。目次を見ても、なんだかいい感じにまとまっているではないか…!

それが、今回取り上げる御本でした。

ヒトはなぜうつ病になるのか:世界的発生生物学者のうつ病体験

ヒトはなぜうつ病になるのか:世界的発生生物学者のうつ病体験

 

とりあえず、わたしの主治医にもこの本読んでますとお話したところ、情報の鮮度的にはやや古めではあるものの、読む分にはいいですよとのお医者さんお墨付きもいただき、胸をなでおろしてガッツリ読みました。

とはいえ、中瀬さんは非理系の文系。理科系科目なんて生物の細胞の細かい色々な名前(このへんの表現でお察し)を覚えるところで「カタカナ覚えらんねーわ」と早々と挫折。公務員試験対策で半泣きになりながら勉強した程度。めちゃ辛かった。

こんな私が読んで理解できる範囲のことしかお伝え出来ませんので、たぶんこの本の内容の半分もお伝えできていないやもしれませんが、雰囲気だけでも伝わればと思います。

そして最後に、ジュン〇堂は良いぞ。みんな通ってお金落とそうな!専門書のセレクトが神がかってる!

 

 

うつ病の歴史~時代が時代ならあなたは偉大な人間なのだ!~

芥川龍之介も太宰治も自殺してるってことは…

まずはうつ病の歴史を振り返りつつ、今はどうなってるんだろうというお話につなげていきたいと思います。

過去…といっても紀元前の大昔。そのころからうつ病は存在していたようです。著者曰く、「恐らくホモサピエンスほどの古い歴史」があるらしい。

旧約聖書やヒポクラテスの著書の中にも、それらしい記載ある。ただ、その当時から“うつ病”と言われていたわけではなく、メランコリーだとかメランコリアとかそういう呼ばれ方だった。

そして、このメランコリア的な考え方は、アリストテレスによって「上流階級的な生き方」「創造的芸術家の気質」と捉えられていたそうな!要は、憧れる天才たちはみんなうつっぽいわ!やだ~~~~尊敬!!というアレ。

ええ、我々うつ病患者は時代が時代ならば羨望の対象であったのです。こんな時代もあったのね…

 

なんでこんなに悪いレッテル扱いになったんや

それがなぜ今では社会悪のような扱いを受けているのかと言うと、キッカケはお察しの通りキリスト教が絡みます。(テデドン)

彼らが「怠け者の罪」とメランコリア的な症状を結びつけたためなんだって。以降の時代は、印象悪化の一途をたどります。狂気の一種だとか言われちゃう。

科学的にうつ病が認識され始めるのは、17世紀後半に入ってからのこと。それまでは碌に説明されないままだった…とはいえ、この時点は現在のような治療法は確立されていません。なんならむしろ、古代ギリシャ時代の医学が信じられていて、体液のバランスが悪いからだとしてメランコリー体液を排出する瀉血、下剤の使用、嘔吐剤の使用が大半を占めていたとな…ヒェ…

 

ちゃんと“うつ病”になったのはいつから?

それはななんと18世紀に入ってからです。ようやくメランコリアからうつ病(depression)に代わります。ですが、それでもまだまだ現在とは違う状況で、「かなり広い感情の状態」を指していました。

うつ病(depression)を「精神的活動の低下を特徴とする精神的不調」を意味する言葉になったのは、19世紀に入ってからです。

20世紀以降は、躁うつ病は?単極性うつ病は?とかいう細かな分類の議論が巻き起こっていくのですがここでは割愛します。ちなみに、現在のようなお薬での対処が始まるのは1980年代に入ってからです。

…ということは、うつ病に対する現在のような診断・治療が始まったのは、ほんとうについ最近なのだということです。ようやく分かって今の状況です。2000年以上各時代の賢い人たちが議論を重ねてきて、これです。

 

 

うつ病の原因とか治療とか~to be continued!~

 原因は?なんでうつになるの?

これについても色々書いてありました。愛する人との死別だったり、親から子への遺伝だったり、環境だったり……ここで詳細を上げるのは割愛。

著者曰く、なぜうつ病になるのかについては「ただ一つの原因を考えるのではなく、むしろ一人の人間をうつ病にかかりやすくするもろもろの要因の総ての組み合わせと、うつ病発祥の直接の引き金となる外部の出来事の両方を考え合わせる」必要があるよねとのこと。つまり、そんな一言で説明できるような簡単な仕組みでうつ病を発症するわけじゃないということ。

現段階でハッキリわかっていることは沢山ありますが、とにかく印象としてはこれからの実験や論文の発表が待たれるって感じ。

 

そもそもうつ病って何?

うつ病という病気をどう捉えるかというお話もまた本著では多くのページを割いて語られています。

  • 進化論(「グループの支配的なメンバーからの攻撃の可能性を減少させるために、危険な社会的状況で会社の撤退を促進するメカニズムから進化した」など。進化論の観点から、うつ病を「悲しみが制御不能」になった「悪性の悲しみ」と著者は捉えている。なお、筆者は進化論のこの説明を推している。)から説明してみたり、
  • 心理学的に分析してみたり(ボウルビィの愛着理論、アーロン・ベックの認知理論
  • 生物学的に説明してみたり(「ノルアドレナリン(エピネフリン)およびセロトニンのような脳内の神経伝達物質が欠乏」とまとめている。「ストレスによってコルチゾールが増加」することで「セロトニンの機能を弱められる」。)

正直、この辺の話はめちゃんこ難しくて、読むので精一杯・理解が追い付かないって感じでした…非理系にはこれが限界よ…バリバリの専門の方、ぜひ読んでみてください。理屈っぽく多角的にうつ病を理解することができます。

 

そして肝心のお薬のお話です、が…

ぶっちゃけ、うつ病のために開発したよ!というわけではなく、「他の病気の治療に使用されていた薬物が偶然うつ病を緩和した経験的な事実」で開発につながったという。あ、あれー…

しかも、このお薬(一番最初・古い三環系抗うつ薬)が登場したのが、なんと1940年代。もともとパーキンソン病治療薬として使われていたものです。

多くの人が服用しているであろう選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)はもっともっとつい最近、1987年から開発されています。これはセロトニンが欠乏することに注目した製薬会社が頑張ってお金かけて開発しましたよというアレです。あれれー…

そして現在、2019年。うーん…ぶちゃけ、1987年とか、その時すでに学生やってましたなんて方、多そうです。わたしは(まだ)アラサーですのでまだ生まれてませんてへッ☆彡

いえいえ、とにかく1987年!1940年代!こんなのついこの間です。

うつ病について科学的に理解されて、薬物療法が行われて効果が出ているという今の状況は、古代ギリシャのメランコリアなんて呼んでた時代から始まってずずーっと長い歴史がある中で、ほんのついさっき始まったばかりなんですね。

 

 

 

 

うつ病はまだまだ謎が多い病気ってお分かりです?

中瀬さんの感想

いや~~~~~ほんとうに難しい本でした…読むのがつらかったし大変だった。いままで培ってきた知識や根性や気力を総動員して読んだ感じ。たぶんこれ以上難しい本になると、わたしはお手上げです。この本がギリギリ理解できる限界値だと思います。

苦労して読んだ甲斐あって、内容については非常に満足しています。なんちゃってうつ病本じゃないし、裏付けのあるお話でした。

この本の感想をじつは主治医にも求められておりました。どうだった?と聞かれ、素直に「うつ病って、分かってないことが多いんですね」と素直に言ったところ、笑顔で肯定してくれました。そうなんだよ~!って。(それはそれで患者としては心配だし、世界中の研究者さんたちのアレコレが進展することを切に願う)

主治医の言葉を借りると、今現在の医学で分かっていることは、数学における数字みたいなものなの、なんだです。

1,2,3…と我々が日常生活で使う数字はありますが、ほんとうは1と2の間には無数の数字がある。医学もまた、今現在分かっているものもあれば、分からないものもまたある、というわけです。

うつ病の姿が少しだけ分かりました。

ヤツは今現在の医学をもってしても解明しきれない。医者も分からなければ、患者はもっと分からない。みんな分からないなりに、今できる一番いい治療を頑張っている、ということなんですね。

 

最後に

うつ病…なんて深い病気…こんなつい最近ようやく分かってきましたわな病気を診察してくださる諸先生方には感謝しかないね。

まだまだこれからなのですね。わたしたちは。そして、まだまだこれから理解が進んでいく未解決な病気を患っているのですね…

うつ病についてお勉強したい勢は、ぜひ情報の取捨選択にお気を付けくださいませ。読みたい本があるなら、主治医に見せてお墨付きをもらうと良いと思います。とにかく探すのが大変だったので(初診から年単位かかってる)、急がずにゆっくり探しましょう。変な本に引っ掛かって変に固定観念を植え付けられませんよう。 わたし的に、海外からの翻訳本はなんとなく信頼がおける気がします。とはいえ、ホメオパシーとかちょっと怪しいモノもあるでしょうけど…

難しいお話を長々としてきましたが、病気のことを理解する参考になれば幸いです。